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バッと顔を上げた俺を見て、彼女は自分も頬を染める。
「……え? ヤだ……」
「ヤだって、なんだよっ。しょうがないだろっ?」
「っだって! 困るわよあたしっ……。友達の、好きな……人なのにぃ」
「だからしょうがないだろっ。 俺だって、二つも歳上の女好きになるなんて思わなかったんだから」
もう、歯止めがきかなかった。
貴女は必死に友人に弁解したけれど、俺のせいで友人を1人失くした。 と、いつまでも言うことになる。
「すみません。この……プラチナの9号の指輪、予約していた日下ですけど」
閉店間際に滑り込むように間に合った宝飾店。クリスマス・イヴという事もあって、店内は赤と緑、そして金銀に彩られていた。
5年分の、想い。
電車の中で馬鹿みたいに幸せそうな顔をして、ふたつ分の駅を過ごす。
駅からさほど遠くない、閑静な住宅街に不似合いなボロい1DKのアパートに、我が家はある。