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「おっ帰りなさ~い! 寒かったでしょー。明日ホワイトクリスマスになるって今、天気予報で言って……」
「っ俺のそばに、ずっと……居て下さいっ!」
紫色の宝石箱の蓋を開けて差し出して、耳まで真っ赤にしてそう言った。
貴女は狭い流し台で料理をしていた手を止めて、涙を流しはじめる。
玉ねぎのせいか。とも思うが、鍋の中には出来上がっているビーフシチューがあるだけだった。
「……小夜、子」
俺の方がどうしていいのかわからなくて、脈拍が徐々に増していく。
「~~~っあのなぁ! 俺今すっごい恥ず……っ」
たまりかねて言った俺は、急に飛び付かれて玄関に倒れそうになる。が、何とか状態を保つ。
「アッブないっ……だろ」
「ど、しよぉ……っ。うれしすぎて死んじゃうよぉ葵ぃ。しあわせすぎて、っふ……う。あ、たしね? 葵の方が言ってくれるなんて……思わなかっ……」
首に回されている彼女の腕は、小刻に震え、ちょうど重なった体からはとくとくと高鳴る鼓動が俺に伝わってきた。
耳元で、すすり泣く声が聴こえる。
「あっ! ……ゴメン葵、鼻水ぅ、ついちゃった」
「えぇっ!?」
彼女はとても年上とは思えない感じでおどけてみせる。そして笑いながら、すんっと鼻をすすり上げて俺から体を離した。