vol.1 PSY〜サイ〜

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「っ待ちやがれこのクソ坊主!」

 太陽が西の方へいく分か傾き始めた頃。シティ・ネオ・トキオでも有数な歓楽街ネオ・ダイバに野太い男の声が雑踏に響き渡った。

「まてって言われてまってやるほどおれはリコウじゃねぇんだよ!」

 決して少なくはない人混みの中、アジア星系特有の黒い髪が足取りも軽やかに中年の男をまいて行く。

「っざけるな小僧! それは俺のだ、返せっ!」

「あらら、坊主の次は小僧かよ。しかもテメェのだぁあ?」

 よっと一声出して側にあったカフェテラスのテーブルの上に立ち、今さっき中年の男から横取ったクリーム色のエナメルのハンドバッグを顔の横に上げて息を思いきり吸った。

「……っこのカバン引ったくられたひとぉ! あ、そこのピンクむらさきの髪の人! アンタのだよな?! これ!」

「あー!!」

 安心感と歓喜の声。それを聞いた少年はニッと不適に笑ってテーブルの上で仁王立ちし、ビシィっと中年男を指さして一語。

「そこのハゲのオヤジ確保!」

 わっと周りにいた人たちがその少年の言葉を合図に男を取り押さえた。

「アリガト〜! すごいのね貴方!」

 被害者であるその女性はいそいそと少年にかけ寄り、しゃがんではいるがテーブルのせいで自分よりもわずかに高い瞳を見上げた。