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格好はいたって普通の、フリースタイル。瞳もやはりアジア星系特有のブラウン。そして両耳にはルビーのピアスと左にだけ銀のカフス。それだけが妙に浮いていた。
「えっへへ〜。まぁね! いちおう中……確認したほうがいいぜ? ダイジョブ?」
テーブルの上に乗っかったまま、少年はしゃがんで持ち主の女性に手渡した。
それを少年の言うままに女性は受け取り、中身を確認して安堵のため息とひとりうなづく。
「うん、何もやられてないみたい。ホントにありがとう」
「いやっ! お礼は3割でっ!」
ぴっと指をみっつ立てて小首をかしげて見せた少年は、後ろからグッと勢いよく頭を前に下げさせられて「うぐっ」と息を詰まらせるハメになった。
「いや〜ははは、いいんですよお礼なんて! 今後は気を付けてくださいねぇ」
明るい口調ではあったが、少年はその後ろから聞こえてきた声にサァッと血の気を失くし、あわわわわっ。と頬を引きつらせる。が、女性の方はといえばいつからそこに居たのかわからない二十歳前後の小綺麗な青年に、半ば魅せられつつ頭を下げて去って行った。
「ふぅ……」
ぎくぅ!
背後でされたひとつのため息に、少年は目の前の雑踏に逃げたいが一心に手で宙をかく。
「ムダな抵抗はやめようね? 紅」
「っだだだだだだだって! 今日つなぐ分かせがねぇとっ! 〜っっおれ腹へったぁ! んだからこーやって人様の役に……」