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斜め頭上から降ってきた、冷たい声。この声の主は純白のマントを頭から羽織り、自分の姿を晒そうとしないままふっと地に足を着けた。
“飛空技”、である。高等なPSY能力者しか行使することの出来ない能力。コウにさえ今はまだ至難と思われるそれよりも、シュカは自分と同じ声の主に自身に一瞬息をのんで振り返る。
「……“俺は”、イイ気分ですけどね? ふ……今日は早かったですね。しかも1人というところを見ると“あの女”の差し金じゃなさそうですが?」
「裏切り者が。 あのお方をその様にお呼びするのは許しません。“わたし”であればこそ!」
「ハーッハ! ……誰が許さない? 神か“救世主”か! そんな奴らに許されんじゃない。人は人によって許されるモンだ──っぜ!!」
ビシュッという蒼い閃光がシュカの目の前にいた男のマントを切り裂いた。
シュカのPSYが、発動した。 今のPSYのせいでシュカの髪はふわりと空に浮き、瞳の色はより一層蒼みを増す。
「……このような愚行、っ君がわたしだという事実になんの不満があるのだ! 秋日!!」
ビリビリとPSYの波動を痛い程に感じながら、コウは目の前に現れた男の全てに驚かざるを得なかった。
髪の長ささえ違えど、他に異なるところを見つける方が至難だ。
──────── シュカが2人いる ────────
「変わらないな、春日。進歩がないと救われるものも救われない……。九曜惺花宗会の参謀であるのに、いまだにその能力を信じきれていないなんて。夏姫がいるからそこにとどまっているって事ですかね?」