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少女の泣き叫ぶ声が嗚咽へと変わるのに、しばしの時間を要した。そしてその嗚咽が続いた後、イオンは2人の元へ歩み寄り、視線を合せる為に片膝をついて少女に尋ねた。
「お名前を、お尋きしてもよろしいですか?」
「ひっく、し……しらない人になまえきかれたらっ、ぜったい教えちゃダメなんだ」
「……え?」
ソーヤに抱きついたまま、少女はイオンに顔だけ向けて、まだ涙で濡れている瞳を片手で拭った。
「っふ……、シュカが……『先に名乗らないようなヤツに教える名前はない』って、っいつも言ってたもん」
しゃくり上げながら言った少女にふっと笑みを浮かべて見せて、イオンは右手を心臓にあてて言った。
「私は先ほど自己紹介しましたが、それでも駄目ですか?」
穏やかな、優しい微笑に少女は「そっか」。とつぶやいて、次に抱きついているソーヤの顔をじっと見た。
ソーヤはかろうじて上目づかいになっている少女の視線により一層顔を赤くして、バッと少女から自分を引き剥がした。
「おっ……俺は、綜也。ソーヤ=Z-01。……ソーヤ、でいいよ」
「……イオンと、ソーヤ。 ──……おれは、紅。フリーチルドレンだから、ファーストネーム、ないんだ」
ふっとうなだれて寂しそうに言ったコウだったが、自分の体に伸びている金の髪を握り、不思議そうにグッと引っ張った。
「ってぇっ!! いってぇーっ。んだよコレぇ」
「はは、それは痛いですよ」
「キ……キレーな髪だよな。のばしてんの?」
ドキドキしながらソーヤはもう片側の髪を手に取りコウに聞く。が、コウはというと苦々しい顔をしながら冗談じゃないと声を荒げた。