p28
慎ちゃんのびっくりして固まった顔が、ふっとあたしからそらされたのを見た瞬間、なんともいえないキモチが広がって……。
慎ちゃんの横をすり抜けてあたしは家を飛び出した。
「ありっ! ――っ!」
「おまえに追う資格はないだろう!」
家の外に出たとき、おっきな声が家中にひろがった。
慎ちゃんの、声、だった。
あたしっ、どうしよう……。どうしよう!!
おもての白い街灯の下で、がちがち震えながら、凍っちゃうんじゃないの?この涙……。 なんて思ってつっ立ってた。
「はぁ。 ……有栖」
PiPiPi! PiPiPi……ピッ。
「もしもし。 ……ああ、うまくいってる。ただちょっと計算外なヤツが出てきてね。 うん。……うん、わかってる。大丈夫、おれに任せとけよ。 夜中抜け出してそっち行く。気をつけるよ。 じゃあ、後で……」
Pi!
春日部、有栖……。