p54
うしろから、叫び声。
昨日、ずっと捜していた……声。
―――― 和泉!! ――――
「……っくなよ、行くな!!」
涙じゃなくて、雪に濡れて……。
振り返ると、舞い降りる雪の中に、急いで来たのかコートも着ないまま白い息を吐く彼が、立っていた。
「っ……かない。―― 行かない!! はぁっ。 ごめんね慎ちゃんっ、あたし……っ」
ぽんっと頭の上に大きなあったかい手のひらがのっかった。
慎ちゃん、慎ちゃん!
「……わかってた。 でも、認めたくなかったんだ。 フフッ、俺ってさ、子供だから。 ……行ってこいよ」
「――――っ!」
ごめんなさい、も。ありがとう、も……言葉にならなかった。