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 あの頃俺は、ひとりだった。 別に、天涯孤独だったというワケじゃなかったけど、人との接し方がわからなくて……。
 高校時代という、大人たちが戻りたがるというその時代ときを、俺は3年間、ひとりで過ごすのだと思っていた。
日下 葵くさか あおい 17歳 高校3年、春。

「なぁ、日下。学年首位を疾走するのもいいけどな、今のお前に必要なのは勉強じゃない。 もっといろんな事をしていろんな友人を作ることだ。 社会に出てからもそれじゃあ……」

 始業式も終わって早2週間。 春のとてもいい日和。
 放課後、進路指導室である担任に呼ばれて進路室へと足を運んだ。

 入学してから、これで6回目だ……。

 6回目。 これは進路室に“この”話で呼ばれた回数、だった。
 担任は俺から目を背けずに、真剣に話を進めている。 けれど、当の俺はというと、どのまったく入っていない(いわゆるダテ)メガネ越しにぼうっと担任の顔を見つめ、聞き流していた。

「だからな? ちょっとしたことからでいいからしてったらどうだ、ん? 日下」

「先生、生徒会のほうの……仮入部員の説明がもう始まる頃なんで、行ってよろしいでしょうか」

 担任はあっけにとられ、俺を見上げる。
『今までの話をきいてなかったのか』
 そんな顔だ。
 ……はい。聞いてませんでした。 とはさすがに言えない。