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 ちっちっちっと右人差し指を立てて言った睦月を見て俺は、額を覆うハメになってしまったのだった。

 ……もっとも俺が苦手なタイプじゃねぇか。

 昇降口を出てから校庭を横切ろうと少し歩き始めた頃、自分の足音と“誰か”の足音とが重なりつつあるのに気付く。
 そして眉間のしわを寄せて、校庭の半分も行かないところで立ち止まる。 “誰か”の足音も止まった。

「あれ、センパイ。帰んないんですか?」

 くるぅり。と、首を後方へと回す(振り返る)のと、その声の主、睦月がにっこりと笑うのとはほぼ同時で、俺はそれを無視してまた歩き始める。

 正門出たら方向変わるだろ……。

 俺たちの学校の前はT字路になっている。 そして俺は市内へ向かう道とは反対の、郡内へと向かう道をたどる。
 市内とは違い、郡内。 つまり市外からこの高校へ通うものは本当に少数で、睦月も当然ながら市内のヤツだと思っていた。 ……が。

「……なんでついてくるんだっ」

「え? だってボク郡内ですから……って、センパイもしかしてボクと中学一緒だったの覚えてないんですかぁ?」