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「うん、ちょっとな……」

「ごめん、センパイちょっと待って」

 睦月は受話器の口をふさいで何やら騒がしいまわりに向かってでかい声で何かを言った。
 実際は何か少し俺はおかしかったのかもしれなかった。
 たかが、お袋の帰りが遅い。 それだけなのに。

「で、どうしたんですか?」

 睦月はもう一度俺に同じ事を聞く。

「……お袋がさ、帰ってこないんだ」

 ぐっと受話器を握って前髪をかき上げる。
 いい歳して……って、笑うだろうな。 そんな覚悟をしてみるが、返ってきた言葉は違った。

「……ホントは何時なんです?」

「7時」

「……」

 少しの間だけしぃんと、俺の周りから音が消えた気がした。 受話器の向こう側がやけに和んでいて、いいなぁなんてことを思ってみたりした。

「なるほど……。ちょっとヤバイですかね」

「やっぱり?」