p.26

「でしょ?」

「うん」

また、しんとして、間が空いてしまう。

「センパイ、ボク今からチャリでセンパイの家行きますから。 ……5分で行きます」

「ちょっ、お前俺ン家ち知ってんの?」

「晴行さんにききました。 じゃ、行きますね」

プツッと会話は切れて、俺も受話器をゆっくりと置いた。そしてまたソファにトサンと座り、テレビの音量をあとふたつばかりリモコンで上げる。

「ぶーす。スタイルなんとかしろよ」

「誰もお前の歌なんか聴きゃしねぇよ」

「へったくそ」

我ながら暗い。暗すぎる。
テレビの中じゃ今ハヤリの歌がガンガンに流れ、ロックシンガーなのかアイドルなのかわからない(でも人気はすっごいある)女が、リズムに“乗ってるように”歌っている。

「芸能人おまえなんかただの偶像じゃねぇか」