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俺は顔を上げられなかった。
「わかってねんだよ……っ。あいつ、義務感で俺食わせてるだけじゃんよ!」
「なんでですか」
睦月が俺と視線を合わせようとしてしゃがみこんで言った。
「働かなくたってっ……。働かなくたって食っていけるんだよ。保険だって出てるし、ローンだって終わってるし親父の本家金持ちだしっ。俺、学費だったら自分でバイトして払うよっ。だけどあいつ、親父がコケたら自分が働くもんだって思い込んでさぁっ、俺はあいつらに食わしてもらっていくもんだって、っそーゆーモンだって、何でそうなのか考えもしないでそーゆーモンだって……っそりゃ義務感じゃないのかよっ!」
「なんでそうだってわかるんですか」
「っそうじゃないってわかるのかよ?! 俺がいくら心配してもなぁっ、あいつ俺がなんで心配してるかもわかってねんだよっ!」
睦月は一瞬口をつぐんだ。
ばんっ! と平手で晴行さんが俺の肩を叩いた。
……けっこう、痛かった。
「わめくなよ」
晴行さんはカウンターの外に出て行く。
「……人間の弱い部分を許容できない人間は、強くないよ」