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 そんな風に呆れた史郎の事など暁は露ほどにもかけず、史郎に仁王立ちして言った。

「そんなん、便利だからに決まってんじゃん。……ねぇ、毎晩何やってんの? って……え? ちょっ、ずっるぅ~! サイッテー!」

 ダークブルーの髪を軽やかに空気に乗せて、暁は史郎の後ろにあるオーロラヴィジョンに映し出されている朱い花を見て叫ぶ。

「あはは! 声かければよかったね、ゴメン。 ……“キャプタ”」

 史郎はくるりとチェアを180度回転させて、オーロラヴィジョンの前につくり出された青白い光を放つ液晶コントロールキーキャプタを慣れた手付きでピピピとタッチしていく。
 キャプタから入力された命令をマシンは音声で応える。

〔了解 彼岸花 3Dフォーメーション ニ ムーヴメント シマス〕

 その音声と共に、オーロラヴィジョンの中央から七色の光が部屋の中央にある受信体リセプティに伸び、そこに本物とそっくりの朱い、“彼岸花”を回転させながら映し出した。
 今はもう、この世にはることのない花。
 それを2人はほうと浅く息をついて見る。
 この地球アースには、VSLを除いて植物及び生物が生息するところは、ない。
 21世紀末。核戦争と大気汚染。その他諸々の悪条件が重なりに重なり、地球人口の5分の4は当時、太陽系第4惑星“火星マース”へと異郷を余儀なくされたという。
 そして残りの5分の1の人口。それはIQ200以上を持つ科学者サイエンティスト達である。彼らはこの人類の故郷と云われる、今では銀河指定保護区域に認定されている地球アースでの生活を、特別に許可され居住していた。