vol.8 end
p50
明けない夜があった。
まっくらな夜が3日3晩つづいて、やっと朝がきたと思った時、今年10歳になったという……あたしと2つしか違わない男の子が言った。
「真っ暗だっただろ? でも、もう大丈夫だよ。僕が居る。僕が、暁のパパとママになってあげる。ずっと、一緒にいよう」
科学者だったパパとママは、実験中に事故に遭い、あたしは茫然自失となっていた。
2人のぬくもりがのこっている暗い部屋の中で独り、脚を抱いて座り、パパとママの還るのを待っていた。
ふと、涙の渇いたつっぱる顔を上げて声の主を見た。
「……お兄ちゃん、だれ?」
「僕は“Φ-18・史郎”。暁のパパとママは、僕の後見人だったんだ……。 “暁”。いい名前だね。夜明けって意味なんだよね。ずっと夜に埋もれてたらダメだよ。“暁”じゃなくなっちゃう」
ね? と、差し出された手に、あたしは泣きながら自分の手を重ねた。
―――― ずっと、一緒にいよう ――――
『暁!』
遠くで声が聴こえる。 誰……?
『暁ぃ!』
まって、体が重くてなかなか動かないんだってば。
そう……少し顔をあげれば、いける。
もどれる……。