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「私の相手じゃない。ってコト……。 夫の心配なら無用よ。別れてきたわ、貴方とのためにね……。 ずっと、忘れられなかったんですもの。6年もの間」

 艶やかな唇を綺麗に動かし、亜伊は光記の頬に真紅のマニキュアが丁寧に塗られている指を這わせる。

「っ貴女がオレを捨てたんだ。 いまさら……っ」

「そうね、いまさら……ね。 私もこの話がきた時……」

「ん……ぅ」

 ベッドで眉間にしわを寄せ、瞼をふっ。 と、開こうとした影良に亜伊はいち早く気付き、口元にうっすらと笑みを浮かべて光記に向かって身をかがめた。

「クスッ。 光記……」 ぐっ————!

「……?! っ亜——っ!」

 その、整った唇が光記のそれをふさいだ瞬間だった。
 ギシッ。と、音をたてて今まで横になっていた影良が上半身を起こしたのは。

「……光、記?」

 綺麗な女性ひと……。 だれ? えっ……と……。
 ドクドクと“不安”という風船が膨らんでいく……。

「——っ! は、あ……。 っ……影、良……」

 力づくで光記は亜伊を自分から遠ざけ、ぼう。 と、している少女の名前を呼ぶ。
 えっ……と……。何、で? 何で光記……。 っ違う! 見間違いだ! だって光記は私を……————。

「影良……!」

 びくぅ!
 光記の再び自分を呼ぶ声に体を震わせ、ぱたぱたと影良は涙を流し始め、息をひそめる。

「……何にも言わないの? 自分の男が他の女とキスしてても」

「っ亜伊!」