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 シュンッ! と、開かれた皇女室のオートドアをくぐり、ヤ=シャは自分の代役を務めていたル=ビアに「ご苦労だった」。 と、ひと言いって、部屋に2人になるタイミングを待った。

「ラ=ゴウ陛下。 ケイ=ト様はもって3日、ですから貴女様に龍印を継承し、ご自分は退かれたのでございます」

「でもっ、それでもっ!」

「しっかりなさいませラ=ゴウ女王!!」

 ビクッ!
 今までラ=ゴウの部屋一面からセアを一望していたヤ=シャは、ぴしゃりとラ=ゴウを叱咤し、先ほどと同じくマントを翻してまだ若い女王に向き直る。

「ヤ=……シャ」

「……こちらが薬を調合致しましたもの。 どうか、お飲みください」

 手のひら半分ほどのちいさな小瓶。 それの3分の2ほど入っている濃い緑色の液体をラ=ゴウに差し出し、ヤ=シャは小瓶の蓋を開けて手渡した。
 ヤ=シャが、どんな思いでこの薬を探しに行ったのか、分かっているわ。 けれど……!

「ケイ=ト前女王陛下は、総てをラ=ゴウ様、貴女に託されたのです。 そのご意思を無駄にしてはなりません。 ————っケイ=ト様のご意思を継げるのは、紛れもない、貴女様なのですよ。 そして何より……、私が、ラ=ゴウ様、貴女様を失いたくはないのですっ」

 風の吹くはずのない部屋に、わずかに空気が揺らいだ。 ヤ=シャが膝をつき、ラ=ゴウの薬瓶を持つ反対の手を取ったのだ。
 ヤ=シャ……? ドキン、ドキン、ドキン、ドキン————。

「……っ、どうか、どうか生きて下さいませ」

 冷たい唇が、ラ=ゴウの左手の甲に付けられた。
 なんて……切ない声。 ヤ=シャ、わたくしは……。 わたくしは————!

「……ヤ=シャは、わたくしの側にこれからも居て、わたくしを助けてくださいますの?」

「……御心のままに」

「ではっ、……では、わたくしの願いを……きいて下さいますか?!」

「……私の出来ますことなれば」