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どさっ。という音と共に投げ出された毛布と同様に、身を投げるようにして葵もソファに腰を下ろした。
大きな溜め息をひとつついて、天井を見上げる。
その葵の横顔には、明らかに疲れの色が見えて窺えた。無理もない。ここ半年の間、人と会話をするということなどこの男の中からほとんど消え去っていたのだから。
重たい瞼をゆっくりと閉じようとしたその時だった。
ピピピピピッ。
真新しいコードレスフォンが、太陽も沈みかかっている事務所に鳴り響いた。
冗談じゃない。やっとゆっくり出来ると思ったのに。
そう心の中でひとりごちる。
ピピピピピッ。
しかとを決め込んだ葵はもどかしそうにソファの上で体をよじる。
はいはい。留守ですよぉ。誰も居ないですからねぇ。
と、そんな事を思った次の瞬間。葵はひとつ重大な事を忘れていたといわんばかりにソファから飛び起き、受話器を耳に当てた。
「はい、もしもし日下旅行代理店事務所ですが」
電話は、葵の予想していた人物とは違っていた。
「こちら京都府警察署捜査第一課の氷室と申しますが、日下 葵さんでいらっしゃいますか」
「……は、い。日下は私ですが」
一瞬の沈黙。葵は眉根を寄せて、体中の神経を耳へと集中させた。
「少々お尋ねしたい事がありまして……。そちらに七澤 睦月という者が雇用されているかという確認なんですけどね」
ずくん。と、葵は鼓動を速めた。
嫌な、予感。
「はい。七澤はうちで雇用してますが……七澤が何か」
「葵さんっ! この夕刊見……っ」