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「あ、ああ。うん、中に入ろう」
思い出したようにして言った葵の背中を小枝子は見て、私情でもあり正論を葵に言った。
「警察に任せた方がいいんじゃないんですか」
沈黙の時が流れる。
葵はそう言った小枝子を振り返り見て、寂しそうに微笑んだ。
「俺さ、何度かあいつに助けてもらってるのよ。 だから、今度は俺があいつを助けなきゃな……。なんて思ったりしてるワケ」
昨日の朝、睦月を見送った時の曲がやっぱりスピーカーから軽快に流れてきた。
「ほらほら、梅原こそ乗り遅れるよ」
さっきの微笑みのまま葵は、小枝子に言われた言葉を本人に返した。
サァーッと2人が車内に乗ったのを確認したかのようにして新幹線のドアが閉まる。
「俺さ、着いてすぐに京都府警に足運ぶけど、いいかな」
デッキの所で立ち止まり、葵はそう言った。
小枝子は真剣に言ったはずの葵に対してクスッと仕方なさそうにして笑う。
「変わってないですよね、性格」
―――― 京都
京都府警察署捜査第一課の取り調べ室では、昨夕から続いている殺人事件の取り調べについて、昼近くになった今も続行されていた。
「いい加減にしたらどうなんだ。え?」
……あたまがいたい。
「物的証拠も、状況証拠も揃ってるんだ。 自供したほうが裁判長の印象も違うぞ」