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 しいっ! と、受話器片手に反対の人差し指を口元で立てたのは、勢い良く怒鳴り込んで来た小枝子に向けられたものだった。

「電話どころじゃないのよっ! これっ」

 がさがさと新聞を広げた小枝子に葵は卓上にあったペンで新聞紙に走書きする。

 “警察からTEL! しずかに!”

 それを読んだ小枝子はさすがに口をつぐんで押し黙ってしまう。

「……はい、はい。では明日にでもそちらにお伺いしてもよろしいでしょうか」

 どういう事なのだろう。

 頭の中でグルグルと回り続けるそれにブレーキをかけ、再度ペンを別の紙に走らせた。

「はい。わかりました。では明日伺います。失礼致します」

 ピッ。と、コードレスフォンを切って、葵は走書きの続きを頭から抜き出して書く。

「……これって、やっぱり七澤くんなの?」

 小枝子はおろおろとして葵の顔を覗き込んで聞いた。
 テーブルの上に広げられた新聞には、第一面に大きく記されていた。
 新幹線内で刺殺事件。白昼堂々の惨劇。

「あいつは人を殺せるような人間じゃないよ」

「久世さん達の件、キャンセル出来ないかな……」

「キャンセルなんかしないさ」

 葵は走書きした紙をびっと破り、そう早口で言った。
 小枝子はびっくりして葵に反論する。

「しないって……。七澤くんこんな事になっちゃってるんですよ!?」