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安心させている圭助の後方で葵は腕を組み合わせ、睦月に聞く。話をそらした方がいいと思ったらしい。
けれど睦月は聞かれたことがよく分からなかったらしく、聞き返してしまう。
「記憶」
「――――……そ、うなんです。全然、覚えてなくて」
圭助が自分の後ろに立っている葵を、「ひとがせっかく落ち着かせているのにっ」。と、目で叱る。
が、葵シカト。
「俺達と別れてから新幹線に乗って全然ないのか?」
睦月はしばらく視線を泳がせ、何かに気付いて目を少し見開いた。
「そ、いえば……。コーヒー飲んでからすごく眠くなったんです」
「コーヒー?」
なんだ、それ。
そう睦月に言った葵はわずかだが眉間に皺を寄せ、ベッドにもう一歩近づく。
「なんだ……それ。じゃないですよ。センパイが、差し入れてくれたんじゃないですか」
「俺、そんなものお前にやった覚えはないぞ」
辛そうに言った睦月の言葉を即座に葵は否定し、驚愕の目を自分に向けてきている圭助にも同じ様な反応を返す。
「っ飲んでどれくらいで眠くなった!?」
睦月の顔を覗き込みながら葵は切羽詰まったように聞いた。同じ様にして口を開きかけた圭助だったが、聞きたい事は葵と同じだったらしい。
「セ、ンパイじゃないって……」