p27

「どのくらいで、眠くなった?」

 葵は同じ質問を睦月に再度問いかけた。
 病室の窓が、かたかたと揺れる。
 外は風が出てきたらしかった。

「っと……。飲んで、すぐだったと思います」

「ベンゾジアゼピン系の眠剤、睡眠導入剤か……」

 ちぃっ。と、舌打ちした圭助を見て葵はしかめた顔のまま疑問符を打つ。

「ベンゾ系は時間が経つと体内に残らないんだよ。血液検査でも……時間が経ちすぎてるからきっと分からないな」

 睦月の表情が悲しそうに歪む。

 もしかしたら、本当に僕がやったんじゃないか……。

 ふと静かにそう思って、睦月は瞳を涙で濡らした。

 センパイ。僕、本当にあいつらを憎んでたんですよ。それこそ、殺してやりたいくらいには……。
 だって、その行為がつい4・5日前まで続いていたんですよ。

 葵と圭助は睦月の言葉を聞くなり身を静止して絶句してしまう。

 高校2年の時から今、25歳であるこの歳までの8年間。この青年はどんな思いでここに、いるのだろう。
 色々したんですよ。夜逃げしたり、偽名使って働いたり。 ……っなのにっ、なのにあいつらはどこから調べてくるのか1週間もすると僕の前に現れるんだ!!
 ……センパイのとこ、雇ってもらいたくて来たって言いましたけど、違うんです。……ったすけてほしくてっ!

「僕を救ってほしくて訪ねたんですっ」

 浮かび上がった涙を惜しみなく流す睦月を間の辺りにした葵は、やるせなさで下唇を噛み締める。