p41

「日下様、藤崎様よりメッセージを承っております」

 しかし従業員にそう事付けされ、渡された紙を見て顔をしかめる。

「ありがとうございます」

 紙には『自宅に電話してくれ』。この一言しか書かれていなかったが、葵は渋谷からの情報も伝えておいたほうが良いだろうと思い、足早に部屋へと駆け戻った。

「もしもし、圭助?」

 ああ、案外早かったな。こっち収穫あったけどどうする?

「先に頼むっ」

 走ってきたせいなのか息が少々あがってしまい、葵はふう。と、一息ついて言った。

 今朝、七澤くんに会ってきたよ。昨日の目撃者の調書が気になってさ、眠剤飲まされてどうして動けたのか。

「さ、すが医者」

 俺、専門外科なんだけど、まぁいいや。 皮下注射の痕があった。筋肉注射をする上腕筋に。

「筋肉注射って、予防接種とかで打つ?」

 よく意味するところが分からないで葵は疑問符を打つ。

 そうそう。 ……犯人は眠剤で七澤くんを眠らせた後、引きずるか何かして洗面所へ連れて行ったんだ。

「んなことしたら、他の乗客に見つかるんじゃないの?」

 七澤くんが取っていた席は?

「2号車の1番うしろだっ」

 そう。偶然か分からないけれどね。七澤くんが寝ている隙に盗ったジャケットを着て犯行に及んで、そこで犯人が七澤くんにナイフを握らせた。