p44
メモされた紙を丁寧に受け取った葵は、朝飯はまだか。と鳴いているお腹をさすりながら、中座してきたレストランへと踵を返すのだった。
「えぇ? 今度は刑務所ぉ? しかも私たちと同じ新幹線に乗れないって……。 まぁ、しょうがないですけど。 今日中には戻ってくるようにしてくださいね」
絶対ですよ。
なんて小枝子に念を押された葵は、はい。としか返答する術はなく……。再びツアーを小枝子へと一任し、一路、京都府刑務所へと足を運んだ。
刑務所というのは外観こそ違うものの、一般人に与える印象というのは、どこも一緒でそう大して違いはしない。
陰気である。とか、殺伐とした感じ。とか。とにかく非、好印象しか受けないのである。
葵もまた、そんな風に思えた。
「田川洋平の友人で先ほどお電話した渋谷といいます」
あらかじめ渋谷がアポを取っておいてくれたおかげなのか、署名だけですんなりと通され、葵は少々拍子抜けしてしまう。
面会室。と書かれた部屋は、葵に2時間ドラマの一場面を彷彿とさせた。
ドラマのまんまなんだな。
へぇ。と、関心なんかしていた時、アクリルガラス越しの向こうのドアから灰色の囚人服を着た1人のみすぼらしい中年男がのそのそと入室し、葵に向かい合う形で座った。
「おれぁ友人なんかいねぇはずなんだけどなぁ」
いやな笑い方をする。
葵は顔をしかめそうになったがなんとか堪え、感情を抑えて対応する。
「……同房だった戸野辺知也が一昨昨日亡くなったんだ」
「本当かよ。戸野辺がか?」