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「他人から恨まれるような事とか?」

「はっ、そんなのザラだろうよ。あ、そういえばヤツ出ていく前に『いい金づるが俺に頼ってきた』って言ってたな」

 っそれだ!

 バンッ。と机を叩いて葵は立ち上がり、食い入るようにして田川に聞く。

「誰だか言っていなかったか?」

 

 

「すみません」

「ごめんなさいねぇ、開店7時からなのよう」

 この日圭助は六本木にあるスナックやクラブを転々とし、戸辺、結城を知る人物がいないか調べていた。

「あの、今月の6日にあった殺人事件の事で少しお伺いしたいことがありまして」

 けれど思うように進まず、ここでも手掛かりとなり得る証言は掴めなかった。
 圭助は手帳に今朝書き写したアドレスに次々とバツ印を付けていく。
 確かに数100件以上もある店舗の中から一軒を見つけるのは不可能に近い事だった。

 次は……。

 はあっ。と、ため息を吐きながら圭助はクラブのインターフォンを鳴らした。

「は~い。ごめんなさいね、うち6時からなのよ。またいらして」

 インターフォンから聞こえてきた声に圭助は今日何十回目かわからない同じ挨拶をする。

「すみません。今月6日にあった殺人事件の事でお伺いしたいことがありまして」