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視線を紙の人物からは外さずに、葵は低く言った。
「七澤くんはこの人物に心当たりはないと言っていたよ。東京の警察病院に移送されたから確認してもらったんだ」
唯一の手がかりと思われる人物が、手がかりではなくなるのか……。
そう3人が3人とも思った時だった。
「圭助、これコピーさせてもらうぞ。今日いまからでもこいつ探し出してやる。心当たりがなくたって恨まれることは馬鹿でもあるんだ」
絶対に引きずりだしてやる。そして、真実を聞き出すんだ。
それから3日間、葵、圭助、小枝子の3人はモンタージュの男を六本木を中心にして探した。
けれど手がかりは、3人の必死の行動を嘲笑うかのごとくになしのつぶてだった。
「なんでこれだけ探して見たって奴がいないんだよ!」
かちゃん、とテーブルの上に置かれているカップとソーサーが音を立てる。葵が拳でテーブルを叩いたのだ。
焦る想い。
その原因は、手がかりが無しという事の他にさっきあった渋谷の電話が絡んでいる。
電話の内容は、1週間後、つまり今週中に七澤睦月の書類送検をする。というものだった。
そうなると事件は検察庁のものとなり、葵はもちろんのこと刑事である渋谷であってもそれ以上は事件に関われないのだ。
「……今週か。時間が無いな」
圭助が脇でため息を吐いて言った言葉に葵はぐっと息をのんだ。
モンタージュを渋谷へファックスで送信した。あいつの連絡を待っていても、時間が無さすぎる!
ぴぴぴぴぴっ。
「はいっ、渋谷?」