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「……警察病院に入っていて調子がいい人って、どんな人ですか」
眉を八の字にして言った睦月を葵は、あははっ。と笑う。
「それもそうだな」
ここにきて、睦月がほっそりしたように思えるのが、なんともやるせなかった。
さぁっと秋風が病室内を吹き抜ける。
葵が睦月と数年ぶりに会った時の重苦しい風は、いつの間にやらなくなっていた。
「屋上、行ってみないか」
外はいい秋だぞ。
なんて付け足して言った葵は、屋上に出るなり、んーっと大きく伸びをして空を仰いだ。
「覚えてるか? しょっちゅう俺が屋上に居たの」
それはもう、ずいぶん昔の事のように睦月には思えた。
だいぶ大きいパジャマの袖をぐっと掴んで何も言わない友人を見て、葵は言った。
「だぶだぶだろ、そのパジャマ。やっぱ俺のじゃ大きかったな」
葵の言った言葉が睦月に届いているのか分からなかったが、睦月は気だるそうに足をフェンスに運び、無意識にひっそりと呟いた。
「……多くの人に迷惑かけて、どうして僕だけこんな所にいるのかな」
「睦月?」
つぅっと、透き通った雫がアスファルトに黒い染みを作った。
「むつっ」
「僕がやったって、一言殺ったって言えばっ。 ……っセンパイたちに迷惑かけなくて済むのにっ」
強く握りしめられてフェンスがガシャン! と音を立てる。
睦月はフェンスを掴んだまましゃがみ込んでボロボロと惜しみなく涙を流す。