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「ったい。死にたいぃっ!」
がつっ! と、鈍い音が辺りに響いた。
その音とともに睦月は姿勢を崩し、いま葵に殴られた頬に掌をあてる。
「……っ! 二度と言うなっ……。二度と死にたいなんて言うんじゃない! 生きたくたって生きられなかったヤツもいるんだぞ!!」
驚いて涙を流すのも一瞬忘れた睦月は、自分の胸ぐらを締め上げている葵の、怒りとも悲しみとも取れない真っすぐな瞳を見て再び顔を歪めた。
「……頼むからっ、逝きたいなんて言うなよっ。俺からっ、これ以上……取り上げないでくれ……っ!」
「っうく、っふぅ。うっう……」
葵の緩めた力とともにぺたりと座り込んでしまった睦月は、きゅっと唇を引き結んで、泣くのを止めようとしゃくりあげる。
それを自分も泣きそうになるのを堪えてしゃがみ込んだ葵は、睦月の頭に片手を乗せて、わしゃわしゃっと撫でたのだった。
「……そう、だったんですか」
ぱたぱたぱた。
天気がいいというのもあってか、屋上にはたくさんの真っ白いシーツがはためいていた。
そのシーツと青い空を見ながら、やっと落ち着いた睦月はほうっと息を吐く。
「ああ。で、今はその婚約者である久世さんが……、犯人だと思われている」
色々な音が聞こえてくる都会の病院の屋上。
せわしさが余裕という時間を隠すせいか、こういう時に妙に時間を長く感じるのが何ともいえない。
「センパイ、僕の懺悔……聞いてもらえますか」
睦月は葵のほうを見るでもなしにそう言った。