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ということは、もうすでにその時点からこの一連の復讐劇は始まっていたのか。
けれど、それにしても1年半の時間は長い。その1年半で睦月と接触できる人物を見つけ、抱え込み、睦月を精神的に追いやるように指示をする。それだけの想い。ということなのか……。
テーブルに肘をついて葵は両手で額にかかる前髪をかき上げる。
圭助から見た葵の表情は悲痛なほどに歪んでいた。
無理もない。この結末は、葵にとっては酷過ぎるものにしかならないのだから……。
「葵さん、あの……。風間さんて方からお電話なんですけど」
ばっと首を上げていつの間にか繋がれていたコードレスフォンに葵は急いで耳をつける。
風間鷹広。警視庁捜査第一課でもう20年あまり働いている警部。苗字は違うが、れっきとした葵の叔父である。
妙なことに首を突っ込んでいるな、相変わらず。
はじめは渋谷がバレたのかと冷や汗をかいたのだが、どうやら咎められる訳ではなさそうだった。
刑事はな、いくら家族であっても事件の概要を話してはいけないんだよ。
「叔父、貴……?」
何のために掛けてきたのか、この人は。
落ち着いてきた頭の中でそんなことをふと思ってしまう。
だがな、人助けをしている甥っ子を安く買うことは出来るかと、思うんだよ。 麻布のマンションのゴミ捨て場からふたつに切られた5メートルの延長コードが発見されたんだ。
葵は眉間に皺をよせ、受話器の向こうの年いった声に聞き返す。
「ふたつに切られた延長コード?」
圭助ははっと電話口にいる葵に視線を向ける。
そういう事だ。あとは、どうにでもしなさい。
その言葉を合図にして電話は相手のほうから切れた。 残されたのはいつまでも続く不通音だけだった。
「葵っ! 上杉は心臓麻痺に見せかけて感電死したんだっ!」